絵本からZINE、そして手紙へ

昨年7月、nëlcöの活動20周年の記念として、絵本「LIFE」の原画展を別府で開きました。

「LIFE」は、もとは娘に宛てた、とても個人的な絵本でしたが、それを展示するとき、来場者それぞれが自分の内面を静かに見つめているような空気がありました。
作品を見ているというより、自分自身と向き合っているような。

その後にお手伝いした『愛』をテーマにしたZINE展でも、似たことが起きていました。

いろんな人が、誰かの個人的なZINEに触れながら、自分の中にある何かを外に出したいという気持ちになっていくのが感じられ、「内から外へ」という動きが、この場所では起きやすいのかもしれないと思いました。

ただ、ZINEは個人でつくることが多いものなので、制作の方法など、どこか心理的な壁をうむこともあるし、
またそれを公開するとなると、一般的にはハードルが高いかもしれない。

そう考えたとき、『手紙』というテーマが浮かびました。
相手がいて、人への気持ちに乗せれば、自分の気持ちも一緒に外へ出やすくなるんじゃないか。
そして外へ出したとしても、本来は手紙は特定の相手以外には公開する必要もないし。
(今回わたしたちは、チラシの裏から少し手の込んだものまで、家族のいろんな温度の手紙の例を公開しますが。)

手紙は気軽でいい、というのがわたしたちの正直な気持ちです。

nëlcöの制作活動の中で、ポストカードやレターセットなど、たくさんつくってはいるけど、
その辺でいつでも手に入る茶封筒でも、ノートの切れ端でも、もらったらうれしい。
誰かのことを思いながらペンを持つ。
それだけでもう、充分な手紙の時間だと思っています。

たったひとりに届けようとするものが、いちばん遠くまで届く。
音楽でも絵でも言葉でも、わたしたちはずっとそう信じて表現してきました。
手紙はその、いちばん素直なかたちだと思っています。

誰かへの気持ちを書くうちに、自分のことが見えてくる。
家族に書く、友人に書く。その小さなやりとりが、身近なところから世界をすこしずつ平和にしていくと、本気で思っている。すこしずつでも全員が一気にやったら、一瞬でひっくり返ることもあるかもしれない。

別府でこの展示をするのは、この場所とこの流れの中に、手紙がある気がしたからです。
4月、別府で待っていますね。

2026/03/29 ユミコ

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